あっという間に秋も過ぎ去り、暦では今日から冬です。3月に日本旅行から戻って以来3ヶ月間毎日忙しい日々を過ごして来たせいか、シドニーの秋を楽しむ余裕はあまりありませんでした。このブログも2ヶ月も空けてしまい、申し訳ない次第です。
自分ではまだ秋の真っ最中だとばかり思っていたのですが、寝床に入ってなんだか冷え冷えとしているなと思たら冬がもうすぐそこでした。そろそろネルのシーツセットを敷いて暖かくしなければ、、、 ネルのシーツを見ると子供達は呆れた顔をするのですが、残念ながら年を取ると寒さが堪えるのですよね。
ネルは木綿でも生地がが細かく毛羽立っているので空気を含んで暖かいですね。就寝時に寝床に入った時にひんやりとしないのが嬉しいです。普通のシーツですととても冷たく感じます。でも冷たくて困るのは冬だけで、それ以外の時はひんやりの方が好きです。特にサテン生地のような木綿のシーツは一番ひんやりしています。
変な話になってしまいましたので話を変えます。先日、5月23日から1泊旅行で友達とボーラル(Bowral)へゴルフ旅行に行って来ました。英語の発音はバウラルに近いのですが、日本のグーグルマップですとボーラルとして出ています。子供達にボーラルへ行くと言ったら、トンチンカンな顔をして『え?どこ?』と聞くのでサザン・ハイランドにあるボーラルだと言いました。すると『バウラルだよ、バウラル。もう1回言ってみて。』と笑われたので、日本語で言ってみたまでだと見栄を張りました。
ボーラルはシドニーから南西へ120km、車でおよそ1時間半です。少し内陸に入り、サザン・ハイランズ(Southern Highlands)と言う海抜500mから900mの高原地方にあります。日本で言うと那須高原とか箱根といった感じなのでしょうが、規模はかなり小さくて人口1万2千人程で田舎町といった感覚です。
それでも中心街はチェーン店等が並び、20−30年前のボーラルと比べると近代化しています。メインストリートからいくつものアーケードがありますがそこにはボーラルでしかみられない個人のお店が沢山並んでいます。
高原ですのでシドニーより秋の訪れも早く、5月の末では紅葉を見るのにちょっと遅い感じでした。ポプラ並木はほとんど枯れてしまっていたのですが、それでもまだ黄色や赤に染まった美しい木々が残っており、とても綺麗でした。

ペッパーズ・クレイギーバーンの部屋から見えるゴルフ場。左の大きな木から枯葉がどんどん落ちて来て地面を埋め尽くしていました。それはとても素敵な光景でした。
宿はボーラルでも有名なペッパーズ・クレイギーバーン(Peppers Craigieburn)でした。このホテルの建物は100年前に建てられました。典型的なサザン・ハイランドのデザインでとても趣のあるホテルです。敷地内には9ホールのゴルフコースもありますし、全体的にとても素晴らしい風景です。
ゴルフパッケージとして予約したので、朝食付きの宿泊に1人27ホール分のゴルフ券が付きます。この券を使ってボーラル付近にある9つのゴルフコースのどこででもプレーすることができるのです。今回は朝9時半ごろ家を出てボーラルゴルフコースで皆と落ち合い、18ホールを回りました。ホテルに戻って先ず乾杯。疲れたので夕食はホテルにしました。
せっかくみんなで一緒に来ているのだからと、寝る前に友達夫婦と3人で備え付けのビリヤードをする事にしました。女性軍対男性です。私はビリヤードの経験は余り無く、3−4回遊びでやっただけですのでとても下手くそです。何度も白いボールを打ち損ないましたし、うまく当たってもその白玉で自分の玉どころか何も当てられず、相手に2回分打てる権利を譲る事が多々ありました。でも1度白い玉が枠に跳ね返って幸運にも私たちのボールに当たり、網に入った時は飛び跳ねて喜んでしまいました。
その晩はなかなか寝付かれず(ビリヤードの興奮が冷めなかったのかも)2時近くにやっと眠る事が出来ました。夜中の2時半頃にすごい雷雨が襲ったようですが全く聞こえず朝までぐっすりでした。そのせいか、朝食後ホテルのゴルフ場で9ホール回った時は良い成績で満足でした。どちらのゴルフ場も景色が素晴らしく、気持ちの良いゴルフでした。
ボーラルの見所はいくつかあり、クリケットの選手で有名なドナルド・ブラッドマン(Donald Bradman)の記念館や、アンティークショップや美術館、コーベットガーデン(The Corbett Gardens)、ワイナリー等が人気の上位を示しているようです。
今回はゴルフが目的ということで、ボーラルの街でゆっくりしませんでした。帰る前にボーラルのお店を幾つか見て回ったくらいでしたが、それでもニットのドレスを買ってしまいました。この頃はパンツ(注)ばかりでドレスを着る機会はあまりないのですが、衝動買いです。
(注)こちらでは長ズボンのことをパンツと言います。あまりトラウザーズとは言いません。以前亀戸の姉の前で娘がパンツを買いたいと言ったら姉は男の人の下着の事かと思って目を丸くしてパンティーと言うのだと正したのを思い出します。そうしたら今度は娘の方が目を丸くしていました。ちなみに下着の事はアンダーウェア(underwear)または少しカジュアルにアンディー(undy)と言います。
たったの1泊でしたがとても楽しい旅行でした。
今日のレシピはボーラルとは全く関係がないのですが私も作って見てとても簡単で美味しかったので是非紹介しようと思ったものです。北欧の有名な鮭の塩漬け、 グラーブラックス です。レシピでは鮭の切り身を1kg使っていますが、小さ目な切り身でもできます。本場ではジュニパーベリーとジン(お酒)も加えるようですが、ここでは塩、砂糖、ディルと胡椒だけなので簡単です。
ちょっとしたおもてなしに前菜として、又サンドイッチにも最適です。是非試して見てください。
- 白胡椒の粒 大匙1(注1)
- 粗く刻んだディル 250ml
- 岩塩 250g(粗塩やフレークでも良いのですが、注2を参照して下さい)
- 砂糖 250g (注3)
- 刺身用鮭の半身(皮付き、骨なし)1kg(注4)
- ヘビークリーム 125ml
- ディジョンマスタード 80ml
- 粉末マスタード 小匙2
- 塩・胡椒
- ライ麦パンの薄切り又はクラッカー(注5)
- 飾り用のディル
- レモンの櫛形切り
- 粗く刻んだディル 60ml(表面に散らす分)
- 胡椒の粒をまな板に散らし、包丁の平たい部分を使って潰す。(あるいはすり鉢で粗く潰す)
- 胡椒、塩、砂糖、ディルを混ぜ合わせる。
- 調理台に大型のラップを2枚、少し重なるように敷く。ミックスした塩の半分を鮭の切り身の大きさに合うように均等に散らす。
- 鮭の切り身をその上に置き、残りのミックスした塩を鮭の上に満遍なく散らす。
- ラップで鮭を包み、大きめのトレイ又は深めのお皿に乗せる。鮭の上に平らな物(例えば小さなまな板)を乗せてその上に400gの缶詰を3つ置く(重石)。
- 冷蔵庫に12時間置く。鮭を裏返し(水分が出てきていてベタベタしている)、重石を置いてさらに12時間冷蔵庫に入れる。もう一度鮭を裏返し、重石とともに冷蔵庫に入れる。12時間経ち、合計で36時間漬けたところで中位の漬かり具合の グラーブラックス (私好み)ができ上がる(漬け込む時間と漬かり具合は注2を参考)。
- ラップを取り塩粒を取り除いて鮭を洗い、キッチンペーパーで水気をしっかり取る。もし時間があればカバーをせずに冷蔵庫に3−12時間入れると鮭が 程良く乾き、塩分が均等に鮭に染み渡る。
- 盛り付け用の刻んだディルを鮭の上に散らす。
- 薄く斜めにスライスする。スライスする時は底面の皮まで切らないようにする(皮は食べない)。トーストした薄切りパンにマスタードソース、飾りのディル、レモンを添えて出す。
- 材料をすべて混ぜ合わせ、塩・胡椒でしっかり味付けをする。クリーミーなマスタードの味でちょっと渋味があるけれど、ドライな鮭を口にした時に水分を補給するのに役立つ。櫛形レモンを添えたのは個人で自由に酸味を調整できる為で、代わりにレモン汁かレモンの皮のすりおろしをソースに加えても良い。
2. お料理用の塩の粒の大きさは4種類くらいあります(小粒から大粒の順で)- 食塩、粗塩、フレーク、岩塩です。ここで岩塩を使った訳は塩分がより均等に鮭の身に行き渡るからです。粗塩やフレークを使っても構いませんが(漬け込み時間は下記参照)、その場合は鮭の表面に塩気が多く中身は少なめに仕上がります。
食塩は不向きです。小粒な為に塩が鮭に染み込み過ぎて塩辛くなります。イオン膜塩も不向きです。鮭が茶色に変色します。
岩塩:レシピ通り、36時間=中位の漬かり具合。3日=しっかりした漬かり具合。
粗塩:24時間=中位の漬かり具合。ただし表面は岩塩で36時間漬けたものと比べ、しっかり浸かる。食べる前に12−24時間冷蔵庫に入れて置くと塩分がより均等に行き渡る。36時間漬けると中位からしっかりした漬かり具合、48時間+でしっかりと漬かる。
漬かり具合:
中位(私の好み)=表面はしっかりとしており、塩気は強くない。中はしっとりとしているがお刺身のような生の感じは無い。何もつけずに食べられるくらいの塩気。
しっかり:表面はかなり固めで柔らかい干し肉のようになり、塩味もしっかりと付いている。中は少し硬めで味もよく染み込んでいる。表面と中身の差がハッキリとしている。私には少し塩気が多すぎるけれども、それでも市販のものよりかなり塩分が少ないです。
3. 砂糖は塩と同じように鮭の身から水分を引き出してつけ込み、甘みを加えます。微粒のキャスターシュガーではなく普通の砂糖を使う事で鮭が甘すぎず適度な甘さを保つことができます。適度な塩と砂糖の割合が塩加減を調整ししかもきちんと付け込まれた グラーブラックス を作る重要点です。
4. お刺身用の鮭を使って下さい。皮付きの半身を使うので皮のついた側は軽い漬かり具合になりますが、私としてはその方が丁度良い漬かり具合です。また皮を下にするのでスライスする時に楽です。
小さめの鮭をつかった場合:このレシピの良い点は小さな鮭の片身や皮付きのフィレを使ってでも出来る事です。でも500g以下の小さな鮭を使う場合は鮭の重量に対する塩と砂糖の量を多めにします。そうしないと切り身全体に塩と砂糖をまぶす事が出来ません。300gの鮭でしたら塩と砂糖の合計が150gではなく、210g位にします(私が小さい切り身で実験した時、この位でした)。
300g以下の小さい切り身はお勧めできません。幅が狭すぎて、塩気がきつ過ぎてしまうからです。
5. 伝統的なグラーブラックスにはライ麦パンが添えられますが普通のパンやクラッカーにのせても美味しくいただけます。 レシピによっては重量感のあるドイツのライ麦パン、プンパーニッケル(Pumpernickel Bread)を添えていますが、デリケートなグラーブラックスには味が強すぎると私は思います。
6. 追加:レモンを使うレシピもあります。レモン1−2個分の皮のすりおろしを塩に混ぜルと良いでしょう。私のレシピは伝統的なレモン無しのレシピです。
7. 保存:36時間漬け込んだグラーブラックスは3日間持ちます。密封容器に入れ、冷蔵庫で保存します。
8. 分量:鮭の大きさの割にたくさんの人数分ができます。1kgの鮭ですと前菜として、一人当たりの量が多めで10人分は楽にいけます。
9. このレシピはシェフのマッシモ・メーレ(Massimo Mele)さんによる鮭の塩漬け方法 を参考にしました。たくさんの質問に根気良く答えて下さり、有難うございました。
このレシピの英語版の料理名はCured Salmon Gravlax (Crazy Easy!)です。RecipeTin Eats (www.recipetineats.com) に載っています。
久しぶりにパソコン開けました。すみません。すてきなゴルフ旅いいですね。こちらは友達が難病になってしまい、病院のつきそいやら、たまに兄の病院お迎えやら忙しく、ゆっくり料理もしていません。残念です。今度日本にいらっしゃるまでには、なんとか一品くらい作ってみたいものです。ご活躍を楽しみに見ています。お元気で。
お友達が難病との事、お気の毒です。クリも無理しないようにして下さいネ。時間ができたら是非何か作って見て下さい。11月に日本に行きます。また詳しく連絡します。