私には3人子供がいますが、どの子も30歳を超える成人です。この国は学業が終わると自立して借家を探し、家を出て行くのが当たり前です。もっとも最 近は仕事を持った子供たちでも親の元で暮らすケースが増えて来ているのですが、、、それはシドニーの不動産が15年ぐらい前から高騰して自活しながらでは 家の頭金を貯めるのが困難になって来ているからです。
我が家の子供達も仕事に就いて間もないうちにアパート(オーストラリアではフラットと かユニットとか言います)を借りて独立しました。真ん中は息子ですが、娘達と違って大学に何年も通ったし、仕事も初めはバイトのような感じで中々自立が出 来ませんでした。でも25か26歳になった時にまだ中途半端な仕事でしたが、こんな歳になってまで母親と暮らしていたら恥ずかしいと言って高校時代の仲良しの友達と2人 でユニットを借り、家を出て行きました。
私は1人になってしまって(犬はいたのですけれど話し相手になりませんからね)ちょっと寂しかったのと同時に『ヤレヤレこれで静かな暮らしが出来る』と思いました。でもあの子は3人の子供の中で一番お料理が上手でよく夕食を作ってくれたのです。それが無くなってしまい、私は毎日かなり不摂生な食生活を送る事になってしまいました。
子供が小さかった頃は私もせっせとお料理に励んだのですが、皆大人になって大学に行くようになったらお料理をあまりしたく無くなってしまったのです。息子がお料理好きでよく作ってくれたから甘やかされたのかも知れないなとも思うのですが。
その頃私はまだフルタイムの仕事に就いていました。朝は食べずに家を出て、会社の行きがけにカプチーノとベジマイト(注)のトースト2枚か、お腹がすいている時はハムやチーズの入ったフォカチア(注)を買って仕事机で食べました。お昼は近くのレストランかテイクアウトの店で出来合いのカロリーの高い食べ物でした。夜は疲れて帰って来て自分だけの為にお料理をする気がしないので、ワインでおしまいかちょっとサラダを付け加えると言った生活でした。毎晩仕事から帰るとまず着替えをし、ワインをグラスに注ぎ、テレビをつけてマッサージチェアーに腰を掛けリラックスといった暮らしが続きました。体重が増えなかったのが唯一の収穫でした。
注:ベジマイトは酵母エキスから作られた塩辛くて黒いペースト状のもので通常はパンにつけて食べます。小さい頃から食べつけていないと大人になってからではとっつきづらく、日本の納豆vsオーストラリアのベジマイトという位置付と言ったところです。フォカチアはオリーブオイルの入ったイタリアのパンです。
そうなると息子の手料理を食べていた頃が懐かしく彼に『いつ戻ってきてもいいわよ』と示唆したのですが、やはり若い者同士の方が気が楽なのでしょう、聞く耳を持たずと言ったところでした。
ところが5年程前に借りていたユニットのオーナーが賃貸をやめて売りに出したいとの事で、息子は一時的に私のところに転がり込む事になりました。私は心の中で大歓迎。でもそれは顔に出さずやむなく承諾。一時的のはずが二時的にも三時的にも(こんな日本語あったかナー)なって今でも息子が居候していられるのはひとえに料理の腕があってこそなのです。でも家賃はかなりディスカウントしているけれど貰ってマス。
息子は和食以外だったら全ての料理で私よりずっと上手です。シェフになっても良いのではないかと思うくらいで、スープストックからパスタまで出来合いを買わずに自分で作ります。たまに出来具合がマアマアかなという時もありますが、たいていはベリーグッドで私は満腹感と幸せ感でいっぱいになり、明日からダイエットしようと言ってご馳走様でしたになります。彼の得意はイタリアンだと思います。ですからナギも弟の作ったおいしいパスタ料理を良く食べましたし、自分で作ったパスタ料理を弟に意見してもらってかなり上手になりました。
ナギのブログには沢山のパスタ料理があるのですがまず豪華に見えてとても簡単な『海老とレモンのパスタ』を紹介します。時間は短くないけれど作り方は簡単ですので試してみてください。
- 生海老(大) 殻付き 500g
- ニンニク 2かけ みじん切り
- エクストラバージンオリーブオイル 大匙2
- チキン又は魚のストック 250ml
- 水 375ml
- 白ワイン(辛口)125ml (無ければ水で代用)
- 玉葱 1/2個 乱切り
- スパゲティー 400g
- エクストラバージンオリーブオイル 大匙3
- ニンニク 1かけ みじん切り
- チェリートマト 400g 半分に切る (普通のトマトも場合一口大のさいの目)
- レモン 大1個(又は小1個半) 皮のすりおろしと絞り汁
- パセリ 大匙3 みじん切り
- 乾燥唐辛子のフレーク 大匙2 (無くてもよい)
- 塩
- 黒胡椒
- レモンをくし型に切ったもの
- パセリのみじん切り
- 海老は頭を落とし背わたを取って殻をむく。尻尾の殻は付けたままにする。(注1)
- 頭と殻はストックを作るのでお鍋に入れておく。(注2)
- 大きい海老は背に沿って切り、半身にする。
- ボールに海老、みじん切りのニンニク2かけ分、オリーブオイル大匙2を入れて指でやさしく混ぜ合わせる。カバーをしてストックを作る間マリネする。
- 海老の殻の入ったお鍋にストックの材料を全て入れて強火にかける。沸騰したら中火にしてふつふつと煮る。
- 煮ている間に2回程マッシャーを使って海老の頭や殻をを潰す。
- ストックが煮詰まって1カップ半くらいになったらストックを網でこしてお鍋に戻す。(注3)蓋をして必要になるまで保温する。
- 大きなお鍋に水と大匙2杯の塩を入れ沸騰させる。パスタを入れアルデンテになる直前まで茹でる。(注4)
- パスタを茹でている間オリーブオイル大匙1杯を深めのフライパンに入れ強火にかける。
- マリネしておいた海老を加えて片側を1分間、裏返してさらに1分間焼く。お皿にとってアルミフォイルでゆったりとカバーをして置く。
- 残りの大匙2杯のオリーブオイルとみじん切りのにんにく1かけ分ををフライパンに加える。海老をマリネしていたボールに残ったオイルとにんにくも加える。フライパンを火にかけてにんにくの香りが出るまで炒める。
- 茹で上がったパスタをフライパンに移し(トングを使うと良い)、カップ1弱のパスタの茹で汁(これが重要)とトマトを加える。1分間程静かにパスタを混ぜると水分が蒸発し、液のとろみがパスタに絡まってつやが出てくる。
- すり下ろしたレモンの皮、レモンの絞り汁、パセリ、唐辛子(使う場合)、そして海老を加える。サッとパスタに混ぜてからストックを加え、手早く全体にストックが絡むように混ぜる。火から直ぐにおろす。
- 塩コショウで味を整える。(これは必ず最後にやる)
- 大きな器に盛り、オリーブオイル(材料外)を軽くかける。くし型のレモンを添え、パセリを散らして(使う場合)すぐに食卓へ。
- 注:シーフードのパスタやリゾットはイタリアでは通常パルメザンチーズをかけません。でもお気に入りならかけても良いと思います。
2. お鍋が大きい程ストックの煮詰まるのが早くなります。
3. ストックが適量に煮詰まっていないと味が薄くなります。煮詰まりすぎて量が少なくなってしまったら水を加えて調整します。
4. 例えばパスタの袋に記述された調理時間が8分だったら2分くらい茹で時間を減らすとアルデンテの前になると思います。硬めに茹でる理由はその後でゆでじるとストックで更に調理するからです。
5. 海老の焼け具合の見分け方:生の海老はつまんだ時に真っ直ぐです。丁度良く調理された海老はアルファベットのCの形になっています。火の通り過ぎた海老はアルファベットのOの形になります。Oのシェイプになったらホントに残念です。
6. 私はチェリートマトを終わりの方で加えましたが丁度良く温まりました。パスタを加える前にと後を調理すると少し柔らかく仕上がります。もう一つのバリエーションとして、トマトを刻むか潰してしまい、海老を炒めた後に炒め、煮詰めてソースとして使う事もできます。

このレシピの英語版の料理名は Prawn (Shrimp) and Lemon Pasta – Restaurant Style です。RecipeTin Eats (www.recipetineats.com)に載っています。
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